第15回   ステープルズ・センターの話・・・は少しだけ

 アメリカのテレビ番組の中で、年間の視聴率が毎年一位、それも二位以下を大きく引き離す圧倒的な強さを誇る番組が、アメリカンフットボールのチャンピオンを決める“スーパーボウル”です。
日本の“紅白歌合戦”に当てはまる、いわゆる‘お化け番組’ですね。

 2月5日にデトロイトのフォードフィールドで行われた“SUPER BOWL XL(第40回スーパーボウル。スーパーボウルの回数は必ずローマ数字で表される。‘XL’はアラビア数字の‘40’)”は、ピッツバーグ・スティーラーズが、スーパーボウル初出場のシアトル・シーホークスを21対10で破り、サンフランシスコ・フォーティーナイナーズ(49ers)、ダラス・カウボーイズに並ぶ史上最多タイの五度目の優勝を飾り幕を下ろしました。

この試合の視聴者数は9074万人で、これはニールセンが87年9月に調査を始めてから、全ての番組の中で二番目に多い結果となったのです。

 では、過去約十八年半の間で一番多くの視聴者を獲得した番組は何かといえば、全く不思議ではないですが、やはりスーパーボウル中継です。
1996年の“SUPER BOWL XXX(第30回スーパーボウル)”がそれで、この時はカウボーイズが今年のチャンピオン、スティーラーズを27対17で破ったんですが、この試合は9408万人が観たとされています。

  少し細かい話をすると、その前年、“XXIX(第29回)”で49ersが五回目の優勝を達成した初めてのチームになっていました。
ですから、“XXX”は勝った方が二チーム目の五度優勝チームになったということで、国民の関心も非常に高かったということが容易に想像できます。


 2月8日にはロサンゼルスステープルズ・センターにおいて、第48回グラミー賞授賞式が行われました。

音楽業界最大のイベントですね。

授賞式放送としては、アカデミー賞に次ぐ二番目の視聴率を獲得できる番組・・・のはずが、なんと今年はゴールデングローブ賞を下回り、三時間半にわたる放送時間の視聴者数は、平均でたったの約1700万人でした。
これは87年以降、即ちこの二十年間では最低の数字だそうです。 昨年と比べると、約10パーセント減少しています。

  放映権を持っているCBSは、日曜日(5日)のスーパーボウル中継(今年はABCが中継した)を避けるために水曜日(8日)にグラミー賞授賞式を持ってきたということですが、視聴率が振るわなかった理由は、放送曜日が日曜日から平日に変わった、それだけでしょうか?

  違います。

水曜日といえば、午後八時から、FOXネットワークが誇る超強力番組、“American Idol(アメリカン・アイドル)”の放送があったからなんですね。

  アメリカ版“スター誕生”ともいえるこの番組は、一月から五月までの毎週火曜日と水曜日の午後八時から、一時間ずつ放送しています(シーズンプレミア[シーズンの第一回目放送]やシーズンフィナーレ[シーズンの最終回]などは二時間放送)。
今シーズンが第5シーズン目のこの番組も、“24(TWENTY FOUR)”同様、シーズンを追うごとに視聴率は上昇しています。

 さて、午後八時からの一時間の、グラミー賞授賞式と“アメリカン・アイドル”の視聴者数対決ですが、“アメリカン・アイドル”は、まだ出場者が本戦に進むためのオーディションの段階だったので、この対決を揶揄すると、‘豪華スター対ど素人’ということになるでしょう。

結果は、グラミーの1500万人に対して、‘アイドル’は2860万人でした。

ど素人の圧倒的勝利というのも皮肉な結果でしたが、更に皮肉なことは、今回のグラミー賞授賞式で二つの賞を獲得したケリー・クラークソンは、‘アイドル’の初代優勝者だったということです。

  彼女が受賞スピーチで、‘アイドル’のクリエーターでありエグゼクティブ・プロデューサーもあるサイモン・フラーに対する感謝の意を述べなかったのは、ただ単に忘れていたということですが、フラーやFOXネットワークに感謝を述べなかったとしても、“アメリカン・アイドル”という番組からグラミー受賞者が輩出されたというだけで、番組としては大いなるPRになったことでしょう。
いや、今更この番組にPRなど必要なく、ケリーの受賞は、今までこの番組を軽視していた人に対しても、多少なりとも権威を示すことができたといえるかもわかりませんね。

 ヨーダの本音 『いえいえ。‘アイドル’を軽視している人にとっては、今回のケリーの受賞は、グラミー自体をも軽視することに繋がるという結果になったんとちゃいますかね』

 ところで、ステープルズ・センターといえば、NBA(National Basketball Association、全米バスケットボール協会)のロサンゼルス・レイカーズ及びロサンゼルス・クリッパーズ、そして、NHL(National Hockey League、北米アイスホッケーリーグ)のロサンゼルス・キングスのホームアリーナ(室内競技場・円形劇場)としても有名です。

ステープルズというのは、オフィス用品製造・販売会社の名前で、この会社がスポンサー企業の一つになって、ネーミングライツ(命名権)を支払っているんです。

約二万人収容のこのアリーナが99年10月17日にオープンしてから、レイカーズは三年連続でNBAチャンピオンになりましたね。

私はあの時、このアリーナが閉鎖解体されるまで、ずーっとレイカーズは優勝し続けるのかなと思いましたよ。

 2000年のアメリカ大統領選挙の時は、民主党の党大会がここで開かれました。
1960年の大統領選挙の際、やはり民主党はL.A.で党大会を開催しましたが、その年はジョン・F・ケネディーが共和党のリチャード・ニクソンを破って、驚くなかれ、弱冠43歳で大統領に就任しました。ということで私は、2000年の大統領選も、L.A.で党大会を行った民主党のアル・ゴア氏が共和党のジョージ・W・ブッシュ現大統領に勝つのかなと思いましたが・・・そんなことは‘ナイゴア’でした。

 ゴールデングローブ賞とグラミー賞の各授賞式が終わり、テレビ界とアメフト界最大のイベント、スーパーボウルも終わりました。

あとは、年間視聴率が二位の、来月5日のアカデミー賞授賞式が終われば、今年ももう終わりですね。

 いつも思いますが、あっという間の一年で、たったの三ヶ月ほどにしか感じられませんでした。

 ・・・と思ったんですが、今年はワールドカップサッカーがあるので、一年はいつもよりも長いかな〜。

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よだ ゆきお

大阪生まれ。“スター・ウォーズ 帝国の逆襲”が公開され、初めてそこにヨーダが登場した時には周りの悪友達に、「ヨーダ、ヨーダ」とおちょくられて、いい気分はしなかったが、今はアメリカ人から、“Yoda, Yoda”と、名前を覚えてもらいやすいが為にいい気分をしている根っからの映画大好き男。