第17回   半分くらいは当たるヨーダのアカデミー賞レース予想

 
 来たる5日に第78回アカデミー賞授賞式がハリウッドにあるコダックシアターで行われます。 

 見どころとしては、今回の授賞式で最多の八部門でノミネートされている、
同性愛のカウボーイを描いた“ブロークバック・マウンテン”がいくつの賞を受賞するかというところでしょう。

因みにアン・リー監督は、この映画は同性愛の映画ではなく、
「愛の映画だ」
と言っていますね。

 さて、私なりの予想ですが、それを書くのはよそう・・・と思いましたが、自分自身注目している部分があるので、そこのところをお話させてください。

まず、主演男優賞ですが、ノミネートされているのは以下の人たちです。
フィリップ・シーモア・ホフマン  “Capote/カポーティ”
テレンス・ハワード  “Hustle & Flow”
ヒース・レジャー  “Brokeback Mountain/ブロークバック・マウンテン”
ホアキン・フェニックス  “Walk the Line/ウォーク・ザ・ライン 君につづく道”
デヴィッド・ストラザーン  “Good Night, and Good Luck/グッドナイト&グッドラック”

 去年は、ゴールデングローブ賞(以下GB賞)のミュージカル・コメディー部門受賞のジェイミー・フォックス(Ray/レイ)が、同ドラマ部門受賞のレオナルド・ディカプリオ(アビエイター)を抑えました。

二人とも、レイ・チャールズ、ハワード・ヒューズと、実在した人物を演じていましたね。

 今年のGB賞も、ドラマ部門は作家トルーマン・カポーティを演じたフィリップ・シーモア・ホフマン、ミュージカル・コメディ部門は伝説のミュージシャン、ジョニー・キャッシュを演じたホアキン・フェニックスと、やはり実在した人物を演じた二人が受賞しています。

 去年はミュージシャンがヒコーキ野郎に勝ちましたが、今年は作家がミュージシャンに勝つのでは、と予想します。
元々P・S・ホフマンはかなりの演技力を持った人で、これが彼の初めてのノミネートだなんて信じられないくらいです。

主演女優賞のノミネートは以下の通り。
ジュディ・デンチ  『Mrs. Henderson Presents/ミセス・ヘンダーソン・プレゼンツ』
フェリシティ・ハフマン  『Transamerica/トランスアメリカ』
キーラ・ナイトレイ  『Pride and Prejudice/プライドと偏見』
シャーリーズ・セロン  『North Country/スタンドアップ』
リース・ウィザースプーン  『Walk the Line/ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』

 順当に考えれば、それぞれGB賞を受賞したフェリシティ・ハフマンとリース・ウィザースプーンの一騎打ちというところでしょう。

 ジュリア・ロバーツを抜いて女優としては一番の高給取りになったR・ウィザースプーンは、これでオスカーを獲得したら、更にギャラアップ・・・というところですが、
F・ハフマンかな?(ウィザースプーンは母になってもバリバリ活躍していますね。双子の赤ちゃんを産んで今は一線から離れているJ・ロバーツもうかうかしていられない・・・と、本人も思っていることでしょう)

 “めぐりあう時間たち”で主演女優賞を獲った二コール・キッドマンの時のようなメイクを想像させる今回のF・ハフマンは強そうですよ。

この“ローカルBANZAI!!”の第12回で書いたように、助演賞というのは予想するのは極めて難しいですが・・・
ジョージ・クルーニー  『Syriana/シリアナ』
マット・ディロン  『Crash/クラッシュ』
ポール・ジアマッティ  『Cinderella Man/シンデレラマン』
ジェイク・ギレンホール  『Brokeback Mountain/ブロークバック・マウンテン』
ウィリアム・ハート  『History of Violence/ヒストリー・オブ・バイオレンス』

の中で、

助演男優賞はP・ジアマッティを予想します。

去年、“サイドウェイ”で彼はいい味を見せていましたね。

 今年のGB賞を受賞したG・クルーニーはそのスピーチで、 「ジアマッティが獲ると思ってたよ」 なんて言いましたが、アカデミー賞では実際にそうなる可能性があるんじゃないですか。
 でも、実は個人的にはM・ディロンに獲って欲しいんですけどね。

エイミー・アダムス  『Junebug』
キャサリン・キーナー  『Capote/カポーティ』
フランシス・マクドーマンド  『North Country/スタンドアップ』
レイチェル・ワイズ  『The Constant Gardener/ナイロビの蜂』
ミシェル・ウィリアムス  『Brokeback Mountain/ブロークバック・マウンテン』

以上が助演女優賞の顔ぶれですが、主要部門の中では一番予想が難しいと思います。

 F・マクドーマンドはアカデミー協会好みの女優のような気がします。
GB賞はR・ワイズが獲りました。
GB賞ではノミネートもされていなかったA・アダムスとC・キーナーというのも、どんでん返しが多くあるこの部門だけに可能性は大いにあります。
“ブロークバック〜”という作品が強いだけにM・ウィリアムスということも・・・。
「じゃあ、一体誰やねんッ?」 ということですが、正直、予想もできませんね。

 敢えて予想するなら、C・キーナーかR・ワイズのような気がします。

さて、監督賞です。
アン・リー  『Brokeback Mountain/ブロークバック・マウンテン』
ベネット・ミラー  『Capote/カポーティ』
ポール・ハギス  『Crash/クラッシュ』
ジョージ・クルーニー  『Good Night, and Good Luck/グッドナイト&グッドラック』
スティーヴン・スピルバーグ  『Munich/ミュンヘン』

 これは、アン・リーで決まりッ!・・・という声もあるでしょう。
 しかし、作品賞との関わりも深いこの部門だけに・・・

『Brokeback Mountain/ブロークバック・マウンテン』
『Capote/カポーティ』
『Crash/クラッシュ』
『Good Night, and Good Luck/グッドナイト&グッドラック』
『Munich/ミュンヘン』

以上が作品賞にノミネートされている五本です。
 最有力は“ブロークバック〜”です。これは誰も疑う余地がないところでしょう。そしてヨーダの予想は・・・。

 99年の第71回の授賞式で、作品賞は“プライベート・ライアン”が最有力とされていました。
実際、監督賞は“プライベート〜”を撮ったスピルバーグが受賞したんですが、しかしながら、作品賞を獲ったのは“恋におちたシェイクスピア”だったんですね。

 “恋におちた〜”を配給したのはユニヴァーサル・ピクチャーズとミラマックス・フィルムで、この年、ノミネート発表から授賞式までの期間の、ミラマックスのプロモーション活動は盛んだったようです。
「うちの作品、どうか一つ頼んまっさァ〜」 なんて力を入れられた多くのアカデミー会員が、 「ほな、一票入れたりましょか」 ということになったのかもわかりませんね。もちろん関西弁ではないですが。

 とにかく、真実のほどは、‘当事者達のみぞ知る’ということですが、さて、今回“クラッシュ”を配給したライオンズ・ゲート・フィルムズのアカデミー賞獲得に向けた宣伝の力の入れ方は、これも半端ではないようです。
 それがなんとなく、七年前の“恋におちた〜”とダブって見える私には、作品賞は“クラッシュ”が獲る可能性が大いにあるかな、と思っているんですね。


 そして、監督賞です。
 まず、今回はスピルバーグはないでしょう。
G・クルーニーが獲ったら天地がひっくり返るかも知れませんが、天地がひっくり返ることなんか実際にはないので、その代わり私が逆立ちします。
“カポーティ”が評判が高い作品だけに、B・ミラーの目もあるかもわかりませんが、消去しときます。
 そこで残ったのが、アン・リーとポール・ハギスです。
ハギスは“ミリオンダラー・ベイビー”の脚本を書いた人で、去年脚色賞にノミネートされました。
“クラッシュ”は彼の初監督作品です。
アン・リーは“グリーン・デスティニー”でGB賞を獲っていながら、アカデミー賞は獲れませんでした。
 今回‘名誉賞’を受賞するロバート・アルトマン監督は、五度も監督賞にノミネートされていながら一度も受賞したことはありません。
アカデミー賞というと、他にもそういう俳優や監督がたくさんいます。
 そう考えると、ノミネートはされても受賞には至らないという人もいれば、“普通の人々”(80年度作品)のロバート・レッドフォードのように、初監督作品でいきなり作品賞と監督賞を獲るようなこともあります。
 以上の要素を踏まえて、みなさんは誰が監督賞を獲ると思いますか?
 私ですか?
 過去の例を見ると、‘監督賞はP・ハギスか?’という見方が一般的にはできるでしょうね。彼は、今年は脚本賞を獲ると思いますよ。

 脚色賞は“ブロークバック〜”VS“カポーティ”で、私の予想は“カポーティ”です。

脚本賞ノミネート:
『Crash/クラッシュ』
『Good Night, and Good Luck/グッドナイト&グッドラック』
『Match Point/マッチ・ポイント』
『The Squid and the Whale/イカとクジラ』
『Syriana/シリアナ』


脚色賞ノミネート:
『Brokeback Mountain/ブロークバック・マウンテン』
『Capote/カポーティ』
『The Constant Gardener/ナイロビの蜂』
『A History of Violence/ヒストリー・オブ・バイオレンス』
『Munich/ミュンヘン』

注:‘脚本’というのはオリジナルのストーリーということです。‘脚色’というのは原作があるということです。

 それではみなさん、3月5日(日本時間では6日月曜の午前10時)をお楽しみに・・・。

「それで、ヨーダの監督賞の予想は誰やねんッ?」 という声が聞こえた気がしますので、最後に書いておきますと・・・

 アン・リーかな?

 でも、これも実は難しい予想です。
去年の主演男優賞のジェイミー・フォックスのように、今年は「絶対!」といえる部門と候補がいないような気がします。
 そう。“ブロークバック〜”が最有力だとは言われていますが、実際のところはそうは言えないだろう、それがアカデミー賞の難しいところであり、面白いところなんですね(過去にはスピルバーグ監督の“カラーパープル”(85年度作品)のように、九部門ノミネートも、一部門も獲れなかったという作品もありましたしね)。

 今年の私の予想はどれくらい当たるでしょうか。

みなさんも、 「あいつの予想ハズレよった〜。アハハ」 と笑いながら、結果をお楽しみくださいね。

<速報:ヨーダ予想結果>
作 品 賞 『クラッシュ』
監 督 賞 アン・リー 「ブロークバック・マウンテン」
主演男優賞 フィリップ・シーモア・ホフマン 「カポーティ」
× 主演女優賞 リース・ウィザースプーン (ヨーダ予想はフェリシティ・ハフマン)
× 助演男優賞 ジョージ・クルーニー (ヨーダ予想はポール・ジアマッティ)
助演女優賞 レイチェル・ワイズ 「ナイロビの蜂」
脚本賞 ポール・ハギス、ボビー・モレスコ 「クラッシュ」
× 脚色賞 「ブロークバック・マウンテン」 (ヨーダ予想は「カポーティ」)

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よだ ゆきお

大阪生まれ。“スター・ウォーズ 帝国の逆襲”が公開され、初めてそこにヨーダが登場した時には周りの悪友達に、「ヨーダ、ヨーダ」とおちょくられて、いい気分はしなかったが、今はアメリカ人から、“Yoda, Yoda”と、名前を覚えてもらいやすいが為にいい気分をしている根っからの映画大好き男。