“スパイダーマン3”がやってくれました。アメリカでは5月4日(金)に公開され、週末三日間の興行成績が、史上最高となる約1億5110万ドルを記録しました。公開日の金曜日も、一日の売り上げとしては最高となる約5980万ドルで、これらは昨年の“パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト”が持っていた、それぞれ、約1億3560万ドル、約5580万ドルという前記録を上回るものです。観客動員でも、“スパイダーマン3”は最初の三日間で約2250万人で、“デッドマンズ〜”の約2070万人を上回りました。“デッドマンズ〜”に抜かれる前までの記録保持作品、“スパイダーマン”(2002年)は、公開週の週末三日間の売り上げが約1億1480万ドルで、観客動員数は約1980万人でした。今回の“3”は、五年前のこのオリジナル“スパイダーマン”が三日間で稼いだ金額とほぼ同じ額を最初の二日で稼いだそうです。更に“3”は、金曜も土曜も、それぞれ一日だけの売り上げが、去年の同じ時期に公開された“M:i:V”が最初の週末三日間で稼いだ合計(約4770万ドル)よりも上回ったというから、これも驚きに値しますね。とにもかくにも、 昨年の“デッドマンズ〜”も世間の予想を大きく上回るヒットぶりでしたが、今年の“スパイダーマン3”も驚きのオープニングとなったのです。ところで、 スパイダーマンは、自らが持っていた記録をパイレーツから奪い返しましたが、今月末、海賊(“パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド”)が再びクモ男を超えるということはあるのでしょうか?(多分、無理だと思います。なぜなら、今年はライバルも強力ですからね。そういう意味では劇場公開のトップを切ったクモ男くんは有利だったんじゃないでしょうか)
今年の夏の映画興行戦線は、西部戦線とは違ってかなり異状ありですね(第3回のアカデミー賞の作品賞のタイトルは“西部戦線異状なし”です)。前回、‘今年の夏はヒットシリーズの続編が目白押し'と書きましたが、今年のサマーシーズンだけで、なんと14本もの続編とかシリーズ物が封切られるのです。因みに、昨年は7本、2005年は3本、98年から2001年までのトータルでも14本(いずれもサマーシーズンのみ)しか公開されていないにもかかわらずです。もちろん、この夏の14本の中には大したヒットを飛ばしていない作品の続編も含まれていますので、今回、全ての続編について紹介するのではなく、‘空前絶後の年'に相応しいようなヒットを飛ばすであろう作品について見ていきたいと思います(作品名の後の日付は、前が全米公開予定日で、後が日本公開予定日です。それから、興行成績の歴代順位は5月9日現在です)。
◎“オーシャンズ13”(6/8、8/11)
ジョージ・クルーニー曰く、今回が最後だそうです。ジュリア・ロバーツとキャサリン・ゼタ・ジョーンズの名前はクレジットされていませんが、エレン・バーキンと、超大物アル・パチーノ出演。アンディ・ガルシアがクルーニーたちと仲間になって13人になっても、パチーノなら相手に不足はないでしょう。クルーニーは、“オーシャンズ11”のPRでイタリアを訪れた時、「“12”はイタリアで撮ろうかな」と言って、実際にイタリアでも撮影を行ったのに、“12”のPRで日本を訪れた時、「“13”は日本で撮ろうかな」と言っていましたが、日本では撮影していないのでは?昨年の八月と九月にラスベガスのホテル&カジノ、ベラージオで撮影されていた今回の“13”は、予告編を見ても 、舞台は明らかに“11”と同じラスベガスのようです。考えてみれば、“11”での現金窃盗の舞台にもなったベラージオの正面に広がる、噴水のショーで有名な池(?)は、イタリアのコモ湖をイメージしているもので、“12”では本物のコモ湖での撮影により、グレードアップ度を強烈にアピールしたかったんでしょう・・・か?ところが興行的には、“11”は約1億8342万ドルを稼ぎ、2001年の年間8位にランク(歴代では90位)されましたが、“12”は約1億2554万ドルで2004年の14位でしたし、作品の評価も決して芳しいものではありませんでした。そこでクルーニーさん、監督のスティーヴン・ソダーバーグさん、今回は有終の美を飾れるような内容、期待してますよ。そうそう。シーザーズパレスで行なわれているショー“A New Day”が、今年の十二月にいよいよフィナーレを迎えるセリーヌ・ディオン も本人役で出演しているそうですよ。“12”でのブルース・ウィリスみたいですね。
“オーシャンズ13”オフィシャルサイト
◎“Fantastic Four:Rise of the Silver Surfer(ファンタスティック・フォー:銀河の危機)”(6/15、日本公開は9月?)
日本では大ヒットとはいかなかった前作ですが、アメリカでの興行成績は、2005年の13位、歴代では143位の約1億5470万ドルと、まずまずの成績。“スパイダーマン”と同じ、原作はマーベルコミックです。予告編を見れば、この作品への期待は大きくなるのではないでしょうか?
“ファンタスティック・フォー:銀河の危機”オフィシャルサイト
そして、インビジブル・ウーマン(役名はスーザン・ストーム、愛称はスー)を演じるジェシカ・アルバが、“People(ピープル)”誌で‘Most Beautiful People(最も美しい人々) 2007'の中の一人に選ばれた理由も理解できると思います。前回の敵、Dr.コトーも登場するようで・・・というのはウソです、Dr.ドゥームも登場するようで、演じる役者、ジュリアン・マクマホンが好きな私にとっては更に楽しみです。
◎“Evan Almighty(エバン・オールマイティ)”(6/22、日本公開未定)
2003年に公開された“ブルース・オールマイティ”の続編ですが、今回の主役は、前回ジム・キャリーが演じたブルース・ノーランとともにアンカーマン(ニュースキャスター)の座を争うライバルだった、エバン・バクスターです。演じるのは、“40歳の童貞男”(2005年)が‘アメリカでは'ヒットした、今ノッてるコメディー俳優、スティーブ・カレル(個人的には、“俺たちニュースキャスター”(2004年)でのかなり間抜けなお天気キャスター役が好きなんですが、最近は落ち着いた演技が目立つ彼、もうあんな‘怪演'は見られそうにないでしょうね)。監督のトム・シャドヤックと神様役のモーガン・フリーマンは続投です。元々は、引き続きJ・キャリー主演で続編が作られる予定だったそうですが、彼が出演を拒んだという噂。そういえば、J・キャリーという人は“エース・ベンチュラ”シリーズを除き、自分が出演してヒットした映画の続編には出ない人ですね。“Mr.ダマー”も、“マスク”も、彼抜きの続編は目を覆うばかりの失敗作になっていて、愚生でもそれぞれの続編のその結果は明白だとは思っていましたが、そういうことが見えない役者が多いだけに(出演料に釣られるのでしょうか?)、『J・キャリーは頭がいい人だな』と感じずにいられません。そう考えると、今回の“エバン・オールマイティ”にも興行的には厳しい結果が待っている気がするんですが、見方によっては、少なくとも公開一週目の売り上げは、現在のS・カレルの人気のバロメーターにもなると言えるでしょう。因みに、“ブルース・オールマイティ”は、J・キャリー主演の映画としては、“グリンチ”(2000年)に次ぐ大ヒット作で、全米での約2億4283万ドルという売り上げは、2003年の年間5位、歴代では42位となっています。“エバン〜”は、この半分でも稼げれば上出来ではないでしょうか。(おまけ: “グリンチ”や“ハットしてキャット”(2003年)などで知られるDr.スースが原作の、 “Horton Hears a Who”というCGアニメ映画が 来年の3月14日に全米公開予定ですが、この作品でJ・キャリーとS・カレルは声での‘再共演'をしています)
“エバン・オールマイティ”米オフィシャルサイト
◎“Live Free or Die Hard(ダイ・ハード4.0)”(6/27、日本でも同時期公開予定)
日本では、‘また運の悪いヤツが帰ってくる'というコピーで、早くから期待を煽っていますね。今回、ブルース・ウィリス演じるジョン・マクレーンはサイバーテロと戦うからか、邦題は“4.0”と、ヴァージョン風タイトルがつけられていますが、原題は上記の通り。これは、アメリカ東海岸のニューハンプシャー州のモットーである、‘Live Free or Die'という有名な言葉と引っ掛けているんですね。‘自由に生きろ、さもなくば死ね'とは、お世辞にも穏やかとは言い難いですが、それにしてもシンプルでわかりやすい言葉です(でも、シンプルということで言えば、‘Eureka!'というカリフォルニア州のモットーの方が更にシンプルですね。‘見つけたぞ!'という意味です)。今回のこの第四弾では、全米中のインフラ機能が麻痺するということですが、映画の舞台はどうやらワシントンD.C.やニューヨークなどの東海岸みたいですね。それでも、昨年の11月にL.A.のフリーウェイで撮影が行なわれていたり、シーンの中にはL.A.のダウンタウンのような場所も見られたり、‘撮影の舞台'はL.A.も含まれていますよ。元来このシリーズは、一作目も二作目も、テロリストたちが大それた計画をまんまと遂行させようとする・・・というところに‘あの男'がいて、計画がパーになる。または、‘運の悪い男'からすれば、なぜかそういうとんでもない犯罪が起こる現場にたまたま居合わせてしまった、という‘巻き込まれ型'ムービーだったじゃないですか。ジョンが、「神様、もう高いところにはのぼりません」とか、「なんでオレがこんなことしないといけないんだよ」とか、ブツブツ文句を言いながら、それでも見事に敵をやっつけるところが快感だったですよね。愚痴をこぼす、我々と同じような等身大のヒーローが活躍するからこそ面白かったですよね。そういう見解からすれば、十二年前の“3”も、もしかすると今回の“4.0”も(予告編を見る限り)、アクションに重きを置いているような感じで、路線としては違うものになっています。それが、「“1”とか“2”が好きだ」という人と、「“3”が好きだ」という人に分かれる要因でしょう。“3”が好きな人には“4.0”も受け入れられるでしょうが、“1”&“2”派の人も、アクション大作として、スーパーヒーローの活躍を期待しましょう。近年はあまりヒット作には恵まれていないB・ウィリスの、久々にスカッとする活躍を期待しましょう。ところで、実は“ダイ・ハード”シリーズは、過去の三作品はいずれも‘超大ヒット'というわけではないのです。B・ウィリス出演作の中でも、“シックス・センス”(99年)の約2億9351万ドル、“アルマゲドン”(98年)の約2億160万ドルに次ぐ、“ダイ・ハード2”(90年)が約1億1754万ドルで、続く“パルプ・フィクション”(94年)の約1億793万ドルの次に、“ダイ・ハード3”(95年)の約1億1万ドルとなっています(‘声の出演'、カメオ出演は除く)。大傑作“ダイ・ハード”(88年)にいたっては、約8301万ドルしか稼いでいません。
“ダイ・ハード4.0”オフィシャルサイト
◎“TRANSFORMERS(トランスフォーマー)”(7/4、8/4)
これはシリーズ物ではないですが、楽しみな映画ですね。監督は“ザ・ロック”(96年)、“アルマゲドン”、“パールハーバー”(2001年)のマイケル・ベイ、制作総指揮はスティーブン・スピルバーグです。元々はトラックや戦闘機がロボットに形を変えるという日本の玩具がアメリカでヒットし、アニメやコミックになって、それが逆輸入で日本でも紹介された・・・ということですが、そういう物語の背景のこととか、「正義のロボット、サイバトロン(アメリカではAutobots)と悪のロボット、デストロン(Decepticons)が戦うんだよ」なんて話は、予告編を見れば、『とりあえずはどうでもいいや』って思えると思います。
“トランスフォーマー”オフィシャルサイト
◎“ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団”(7/13、7/21)
前回、“シュレック”が2001年の年間興行成績の3位と記しましたが、この年の1位は、約3億1758万ドルを稼いだ、“ハリー・ポッターと賢者の石”だったんですね。この数字は 歴代でも17位の成績となります (因みに、2001年の2位は約3億1336万ドルの“ロード・オブ・ザ・リング”でした)。続く第二弾、“ハリー・ポッターと秘密の部屋”は約2億6199万ドルで2002年の4位(歴代31位)、第三弾、“ハリー・ポッターとアズカバンの囚人”は約2億4954万ドルで2004年の6位(歴代39位)、そして前作、“ハリー・ポッターと炎のゴブレット”は約2億9001万ドルで2005年の3位(歴代26位)となっています。このことからも、今作品でも興収2億ドルを超えることは容易に予想できますね。この映画については語る必要はないかと思います。
“ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団”オフィシャルサイト
◎“The Bourne Ultimatum”(8/3、日本公開未定)
マット・デイモン主演でヒットした、“ボーン・アイデンティティー”(2002年)、“ボーン・スプレマシー”(2004年)に続く“ボーン”シリーズ第三弾。一作目は約1億2166万ドルを稼いで2002年の21位と、ユニヴァーサル・ピクチャーズにとっては思わぬ大ヒットとなりました。その二年後に公開された二作目は、“オーシャンズ12”を上回る約1億7624万ドルという大ヒットで、2004年の8位(歴代105位)にランクされ、ユニヴァーサル・ピクチャーズをいっそう喜ばせる結果となったのです。ジェーソン・ボーンを演じるマット・デイモンの魅力満載のシリーズですが、まさか前作の原題、“The Bourne Supremacy”がそのままカタカナ表記で邦題になるとは思っていませんでした。浜村淳さんも、「さて、みなさん。なんのことか、さっぱり意味がわからんタイトルやね」って仰ってましたが、だとしたら、今回の新作の邦題も、“ボーン・アルチメータム”になるのでしょうね。アルチメータムという、軟膏みたいな言葉は、外来語として使われている言葉でもあるようですから。しかし、アルチメータムだとか、この言葉の意味である‘最後通牒'という言葉なんて、通常の生活では使いませんよ。この作品の原作書籍の日本語タイトルは、“最後の暗殺者”なんですけどね。
“The Bourne Ultimatum”米オフィシャルサイト
◎“ラッシュ・アワー3”(8/10、日本公開未定)
一作目は98年公開で、約1億4119万ドルを稼ぎ同年の年間7位。二作目は2001年公開で、約2億2616万ドルを稼ぎ同年の5位(これは立派!歴代では54位です)と、大ヒットを飛ばしました。今回の舞台は、冒頭のL.A.のあとフランスに飛ぶようですね。クリス・タッカーが莫大な出演料を請求したりして完成がここまで遅れました。しかしながら、これは個人的な想像なんですが、あの2001年の米中枢同時多発テロもこの映画の完成を遅らせたと思います。あれのせいで“スパイダーマン”の一作目も、貿易センタービルが映っているシーンをカットしなくてはならなくなったというのは有名ですね。でも、“ラッシュ・アワー3”も、当初はニューヨークが舞台だったはずです。“ロッキー”シリーズが、二作目は一作目のラストシーンから始まり、三作目は二作目のラストシーンから、四作目も三作目のラストシーンから始まり、五作目は四作目のラストシーンから始まった(五作目から16年も経過していた“ROCKY BALBOA、ロッキー・ザ・ファイナル”だけはこの手法ではなかった)のと同じで、“ラッシュ・アワー”も、二作目は一作目のラストでジャッキー・チェン演じるリー警視長と、クリス・タッカー演じるジェームス・カーター刑事が、飛行機で香港に旅立つところで終わり、二作目は二人が香港にいるところから始まりましたね。同様に、二作目のラストでは、ラスベガスのマッカラン空港からニューヨークに旅立つ二人が描かれていましたから、“3”はニューヨークで、早ければ2002年に撮影開始になるところだったのではないでしょうか。ところで、“2”でのクライマックスの舞台はラスベガスでしたが、あの映画で登場する‘RED DRAGON'というカジノ&ホテルなど、実際にはベガスに存在しませんね。あれは映画の撮影のために造られたんですよ・・・看板が。‘RED DRAGON'は、今現在Wynn Las Vegas(ウイン・ラスベガス)が建っている場所にあった、かつてのDESERT INN(デザート・イン)というカジノが解体される前に、看板を‘RED DRAGON'に造り替えたりして撮影されていました。そんなことを露とも知らず、私は‘RED DRAGON'という新しいカジノホテルができると思っていたんですよ。“ラッシュ・アワー2”を劇場で観た時、『騙された〜』と思ったんですが、そういう騙しはドンドンやって欲しいと思います。まさか、最近アラジン・リゾート&カジノから正式に名称が変わってソフトオープン(仮オープン)した、planet hollywood RESORT & CASINO(プラネット・ハリウッド・カジノ&リゾート)も映画撮影のために改装されたなんてことはないでしょうね。映画がテーマのレストランを経営する会社(とシェラトンホテルなどを運営するスターウッド)が運営するホテルなので、それはありえるかも・・・・・・ないない。最後に、 “ラッシュ・アワー3”には真田広之さんと工藤夕貴さんも出演していますから、私たちには更に楽しみな映画となりそうですね。
“ラッシュアワー3”米オフィシャルサイト
“Mr. ビーン”として有名なローワン・アトキンソンの“ビーン”(1997年)の続編、“Mr. Bean's Holiday”(8/31、日本公開未定)なんて映画もありますが、ヒットするであろう映画を紹介するということであれば、ディズニー&ピクサーが送る今年のCGアニメ映画、“Ratatouille(レミーのおいしいレストラン)”(6/29、7/28)は無視できませんね。
“レミーのおいしいレストラン”オフィシャルサイト
今週末の11日にはアメリカで、“28日後...”(2002年)の続編、“28 Weeks Later”(日本公開未定)が公開されますが、“スパイダーマン3”の相手ではないでしょう。面白くなるのは来週末、“シュレック3”が戦いの舞台に上がってからです。
みなさんも、この夏は暑さから逃れるためでもいいですから、快適なエアコンが効いた映画館へ出かけてみてください。そうしたら、劇場でもヒット作同士の戦いの熱さを感じることになりますけど。これほどまでの大作ぞろいで、私も、「しかっりとお小遣いをセーブしとかなきゃ」ですね。
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